2011年6月16日木曜日

さらにー2011年度仏バカロレア、ディセルタシオンの問題が公表されました

雨の日、二つのクラスのために6月末から7月初めにかけて行う期末テストの問題を作りました。一年目前期のクラスでは「実力」を問うことなど不必要と考え、毎年、問題と問題を解く鍵を前週に与え、テストの日には何も見ずに同じ問題を解いてもらうことにしています。

が、このようにしても、決してよい点を取ってくれる生徒ばかりではありません。(涙)

このブログでは、ここ二回フランスのバカロレアの話でしたが、締めくくりましょう。バカロレアの筆記は、私の期末試験などとは比べ物にならない厳しい「実力試験」です。ディセルタシオンと呼ばれる筆記試験(詳細は前回を参照)の主題(コースごとに三題出されて、生徒が自由に選択する)は、毎年のバカロレア関連ニュースの中でも、最も教育関係者の関心を惹くところです。今年の主題は以下です。

ESコース(一般)
主題1「平等は自由を脅かすものか」
主題2「芸術は科学に比べて無用なものだろうか」
主題3「古代ローマのストア派哲学者セネカの『恩恵』の抜粋テキストを解釈する」

Lコース(文学ー特待生コース)
主題1「科学的仮定を証明することは可能か」
主題2「自分自身について幻想を抱くのは人間の宿命なのか」
主題3「ニーチェの『喜ばしき知識』の抜粋テキストを解釈」

Sコース(理系ー成績不振の高校生用コースとされる)

主題1「文化は人間を不自然に歪めるか」
主題2「事実に反していながら正しいことは言えるか」
主題3「パスカルの『パンセ』の抜粋テキストの解釈」


コース別に分けられた高校生たちは、これらの主題から一題を選んで、6時間のうちに論述を組み立て、長文の小論文(与えられた紙20枚分ほど)を作り上げます。


ディセルタシオンの規則は、「序文、展開、結論に章分けすること」、「展開はさらに三章以上に分け、それぞれの章が一貫し、次の章につながる論理を持っていること」、「各章では三人以上の有名な作家ないしは三作以上の哲学・文学の古典作品の例を引くこと」、「完璧なフランス語で書くこと」などです。


私も院生時代に随分と勉強した方法です。フランス人の文学や思想、ひいては社会、国家、世俗的伝統といったものについての考え方を如実にあらわしている方法かとも思います。





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